勝手時空雑記

思ふこと言はでぞただにやみぬべき われとひとしき人しなければ

An old beautiful belfry in the Taisho era

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その昔、人々に時を告げた鐘楼

昨年初夏の頃、とある町を訪れた際、偶然に見つけた美しい鐘楼です。なんでも昔、薬種商を営んでいた、とある豪商の寄付により竣工された歴史的建造物で、現在は市の重要文化財に指定されているとのこと。

 

鐘楼ですから、その昔は楼上部に(お寺の)鐘が吊るされていたらしいのですが、昭和初期の悲しい歴史に翻弄され、残念ながら今ではその姿を見ることは出来ません。

 

それにしても奇麗な六角形の建造物です。「ドアと窓の淡いターコイズブルー」、「四枚のデザインで統一されたガラス窓」、そして「その上に同じ曲率の弧を描くガーニッシュメント」など、美術に知見のない僕でさえ、言葉を忘れ、暫しその姿に見とれてしまうほどでした。

 

更には、写真からは気付き難いでしょうが、回廊下の丸窓には、おそらくステンドグラスが嵌め込んであります。

 

天を仰ぎながらゆっくりと一周。建物の傍らに歴史を語る解説文が添えられていましたが、残念ながら建築設計者のお名前を見つけることは出来ませんでした。

 

世に忘れられた非凡な建築家や芸術家は、きっと星の数ほどいるのでしょう。

 

そんな先人たちが残してくれた「もの」に出逢い、彼らの心意気に触れることが出来る自由な旅を、これからも末永く続けてゆきたいと思います。