勝手時空雑記

思ふこと言はでぞただにやみぬべき われとひとしき人しなければ

A lovely restaurant in a commuter belt

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僕の中では不動の一番人気、ロースカツカレーセット

コロナ禍の影響で、最近めっきり外食の機会が減りました。と言っても、元々市井のレストランやスナックで食事を取る習慣はあまりありません。勿論、美味しいものは大好きなのですが、「食事は落ち着いた雰囲気の中、気の置けない友人・知人とゆっくり楽しみたい」という気持ちの方が、僕にとってはより重要な要素なのです。

 

そんな中、例外的に、そして定期的に訪れるレストランが都下、とある町の一角にあります。店名に「キッチン」を冠する洋食専門店。仲睦まじいご夫婦が昼と夜の二回、元気に自慢の腕を振るっています。店の間口は一間ほど。四人掛けのテーブルが数脚、奇麗に掃除された店内に整然と並ぶ、昭和の時代から地元の人々に愛されるお店です。

 

基本は洋食の単品二点、または三点を組み合わせるセットメニュー。他のレストランもそうであるように「本日のサービスメニュー」が黒板に書かれ、店の壁に掲げられています。例えば「和風ハンバーグ、エビフライ、カニクリームコロッケ」。選択肢が想像以上に多く、全ての組み合わせを制覇するには、おそらく数年の歳月が必要でしょう(笑)。

 

実に何を食べても美味しいのですが、僕の中での一番人気は「ロースカツカレーセット!」冒頭の写真に掲げたように、揚げたて上質のロースカツと、奥深い味わいのビーフカレーが同時に楽しめる逸品です。カツも並のとんかつ屋では足元にも及ばないくらい丁寧な仕上がりなのですが、特筆すべきはカレールーの味の複雑さ、完成度の高さ。

 

「一日三食のうち一回はカレーでもいい」というくらいカレー好きの僕が、比較対象を全く挙げられないくらい、ここのカレーは本当に美味しい。「いったいどうやったらこんな味が出せるんだろう」と、数年通う今でさえ、毎回首を傾げている。そして店を後にする時には必ず「あの味がこんな価格で良いのだろうか」と要らぬ心配をする。

 

永遠というものが存在しないことは分かっているけど、この洋食屋、いつまでも続いてほしい。でも、そのためにはもう少し価格を上げてもいいんじゃないかな。そしてたまには連休でも取り、夫婦共々体を休めてください。余計なお世話だけど四五日、どこか山奥の鄙びた湯治場でのんびりと温泉にでも浸かってほしい、と心より願う次第です。

 

さてこのレストラン、家から少し遠いのが唯一の難点だけど、電車の旅が好きな僕には、かえってそれが楽しかったりする。都心のターミナル駅を発車する電車に揺られ、時折車窓から野菜畑が見えるようになると、目指す駅はもう近い。

 

外出が憚られる昨今、テイクアウトによるサービスもあるけど、やっぱりご夫婦の笑顔を拝見しながら、お店で出来たてのセットを頂きたい。

 

コロナ禍が落ち着き次第、また大事な人と一緒に伺います。