勝手時空雑記

思ふこと言はでぞただにやみぬべき われとひとしき人しなければ

A favourite pâtisserie in a northern town

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北関東にて真摯に味を追求するパティスリー

今、自由に旅することは憚られる状況ですが、年に数回、意識的に訪ねる洋菓子店が北関東の小さな町にあります。とある路線のターミナル駅から歩いて数分の場所にあるこのPâtisserie、出会いは全くの偶然でした。

 

数年前のある旅の途中、次の列車までおよそ小一時間の待ち時間があったため、ふと駅周辺を散歩してみようかという気に。小さな町ですから純粋に時間潰しです。そこで巡り合ったのがこのPâtisserie。ローカルホテルの一階に構える店の佇まいは、質素、かつ端麗。派手さはありませんが、女性オーナーの人柄が感じられる雰囲気を纏っていました。

 

普段、旅先で洋菓子店になど決して立ち寄らない僕ですが、何故かこの時ばかりは少し休息をとることに。コーヒーが300円(当時)という価格的な魅力に引かれた一面も、もしかしたら心のどこかにあったかも(笑)。

 

さて入店、先ず目に飛び込んできたのは、適度な間隔をおきショーケースに並べられた美しいケーキの数々。僭越ながら、田舎町(失礼!)の店にしては至極洗練されています。「ものは試し」との気持ちも働き、ひとつ注文。その場で食べられる席が店の片隅に用意されていたことも、今思えばFreakとなるための必然だったのかもしれません。

 

それからは冒頭に記したとおり、年に数回、片道200km弱の距離を通う羽目に…。それほどまでに、この店のPâtissierが創る「食の芸術品」に魅せられてしまいました。

 

余談ながらこのPâtissier、都内のとある有名店で長年修行したとのこと。ちなみに、その有名店は若者に人気のスポットである某私鉄駅近辺にあり、終日ほぼ女性客のみで満員となるため、生憎僕のようなおじさんには到底足を踏み入れることの出来ない別世界です。

 

その代わりと言っては何ですが、「今回は何をいただこうかな?」と北へ向かう列車に揺られながら、道中期待に胸を膨らませる至福のひととき。

 

「あの店があるからこの旅をする」という選択肢も決して悪くないかと…。