勝手時空雑記

思ふこと言はでぞただにやみぬべき われとひとしき人しなければ

An impressed landscape in my dear old town

f:id:kyn9:20200504152411j:plain

観るたびに欧州での生活を思い出させる一枚の絵画

ご存じの方も多いと思いますが、誰もがその名を知る十九世紀を代表するオランダの画家、Vincent Willem VAN GOGHの一枚です。現在ミュンヒェン市内、ノイエピナコテーク(Neue Pinakothek)に常設され、誰でも自由に鑑賞することが出来ます。

 

何気ないフランスの片田舎を描いた風景画ですが、何故か観るたびに欧州で過ごした日々を思いだす一枚です。遠くなだらかな平原、カンバスを横切る一本の並木道、青い空に浮かぶフランス特有の低い雲…。あのとき同じ時間を過ごした仲間たち、今はどこで何をしているんだろうか。

 

僕が欧州に興味を持ったのは二十代の初め。多くの学友が米国の文化、生活への憧れを話す中、言葉も風習も違う人々が力を合わせる姿をこの目で確かめたくなり、欧州大陸を自由に走り回るためのパスを手に入れたことを思い出します。

 

人生には様々な転機が訪れますが、「人は案外、目に見えない他力に動かされているのではないだろうか」と思う瞬間があります。というのもこの旅行、事の発端はドイツ・オーストリア文化に深い造詣を持つ、とある友人からの何気ない誘いだったから。

 

あれから幾星霜、今更ながら人間関係の大切さ、縁の不思議さを思わずにはいられません。あの日、友人からの誘いを断っていたら、恐らくこのブログを綴る自分は存在していないでしょう。「変化を受け入れることは新しい自分を作ること」と言ったら、ちょっと格好つけ過ぎですかね(笑)。

 

「月有陰晴圓缺 人有悲歓離合(月は晴れたり隠れたり、満ちたり欠けたりする。人には喜びや悲しみがあり、出会いと別れがある。)」お気に入りの漢語の一フレーズです。

 

今は遠くなってしまった人たち、もう二度と会うことのない人たち。

 

人との出会いは楽しいけど、それを思い起こすときは、いつもちょっぴり苦い味…。