勝手時空雑記

思ふこと言はでぞただにやみぬべき われとひとしき人しなければ

Changing cityscape, unchanged confectionery

都内某有名甘味処で頂く「杏子あんみつ」

その昔、社会人一年生の頃、同じ設計部署に配属された同期のメンバー数名と、「甘いもの同好会」なる気ままな活動を行っていました。今ではもう影も形もありませんが、午前中のみを出勤とする土曜日の半ドン(死語ですね…笑)明け、会社から気軽に行ける距離にある有名処の甘味を皆で楽しむ、という他愛もない活動でした。

 

当時の設計部署ですから、果たしてメンバーは全員男子。「花より団子」という、正に「いろはかるた」を地で行くような集団で、城東・城北地区を中心に和菓子の老舗を巡りました。船橋屋、言問団子、長命寺(桜もち)、舟和、梅むら、葛飾柴又(草だんご)、羽二重団子等々。今なお人気のある名店の暖簾をくぐっては舌鼓を打ったものです。

 

先日、その頃訪ねた老舗のひとつ。都内某下町の甘味処へ何年か振りに足を運んでみました。平日の昼間にも拘らず、店内はほぼ満席。時代は令和へと変わりましたが、相変わらずの人気ぶりです。お品書きは変わりませんが、今はテイクアウトも出来るようになっているんですね。心なしか、商品のラインナップも若干増えているようです。

 

写真は、僕があんみつを頂くとき、ほぼ毎回と言っていいほど注文する「杏子あんみつ」。杏子の酸味と蜜の甘味が口の中で複雑に入り交じり、食べていて楽しくなる一品です。最近(といってもかなり昔からなのでしょうが)では「○○クリームあんみつ」なる商品も女性を中心に人気があるようです(○○は「白玉」や「フルーツ」など)。

 

ところで、当時勤務していた会社のビルはその後取り壊され、今ではマンションに変わっています。そして何とそのビルの隣には、都区内の駅前にも拘らず、広大な敷地を有する生産工場がありました。整然としたラインに熟練の社員が配置され、世界的にも有名な精巧(SEIKO)な精密機器が、日がな一日、休むことなく生産されていました。

 

当然ながら、この工場も今では跡形もありません。その後、跡地には小規模なショッピングモールが建設され、かなりの賑わいを見せた時期もありました。しかしそのモールも数年前に取り壊しが決定。令和四年現在、敷地内にはタワーマンションが建っており、その脇には新たなコンセプトによるショッピングモールも再建されたようです。

 

日本の都市、とりわけ東京や大阪のような大都市では、毎年様々な建造物が造られては壊され、壊されてはまた造られますね。あたかも巨大な積み木細工のように…。

 

「それが『進歩』である」と言ってしまえばそれまでなのかもしれません。ただ、少しばかり空しい気もします。

 

若かりし頃の「甘いもの同好会」から始まった話が、変な方向に行ってしまいましたが、何はともあれ、名代の老舗には、これからも変わらぬ銘菓を作り続けてほしいものです。