勝手時空雑記

思ふこと言はでぞただにやみぬべき われとひとしき人しなければ

A local speciality in my early childhood

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知る人ぞ知る上州名物「焼きまんじゅう

よく聞く話に、「大阪の人はたこ焼き(お好み焼き)をおかずにご飯を食べる」というものがあります。関西エリアにあまり縁のない僕にとって真偽のほどは定かではありませんが、まあそれもありだろう、と個人的には思っています(東日本の「ラーメンライス」と同類)。

 

以下も個人的な意見にすぎませんが、たこ焼きやお好み焼きに限らず、全国津々浦々、名物と呼ばれるものには、様々な謂れ、文化的背景があるような気がします。そして何よりも大事なのは、皆地元の方々はその食べ物に強い愛着を持っている、ということ。

 

この「焼きまんじゅう」にしても、上州の文化にあまり詳しくない方には理解し難いかもしれません。近年「かりんと饅頭」なるものが広く世に知られるようになりましたが、この焼きまんじゅうも多くの人はその名前から、「中に小豆の餡が入った一種の温泉饅頭」を連想するのではないでしょうか。そして「それを焼くのか!?」と…。

 

この郷土料理(菓子と言うべきかも)、全国区の表現をするならば、まんじゅうとは似ても似つかない「甘辛い味噌パン」でしょうか。初めに麹を含んだ小麦粉を練り、それを蒸し、甘辛い味噌ダレをつけ炭火で焼き上げる。特に味噌ダレには各地方・各店の工夫があり、水飴、黒糖、もしかしたら蜂蜜を使っている店もあるかもしれません。

 

さてこの焼きまんじゅう、僕が子供の頃、「餡入り(いわゆる酒まんじゅうを焼いたもの)」はありませんでした(写真、左端の少し大きめのやつ)。が、いつの頃からか仲間入り。仕舞いには「こちらの方が好き!」という人も現れ始める始末(笑)。僕としては「生地のふわふわ感と味噌ダレの香ばしさ」をシンプルに楽しめる、素まんじゅうタイプの方が好きだな。

  

大人になった今でも、時折上州を訪ね、その味を楽しんでいます。そして、その柔らかく濃厚な香りを鼻で感じるとき、決まって温かい焼きまんじゅうの包み紙を抱え、空っ風に吹かれながら家路を急ぐ、幼少の頃の自分の姿を思い出します。

 

流行りの洋菓子や繊細な和菓子のような華やかさは無いけれど、僕にとっては何物にも代え難い、懐かしい味。

 

今も記憶の一ページに鮮やかに残る、家族との思い出の味…。