勝手時空雑記

思ふこと言はでぞただにやみぬべき われとひとしき人しなければ

The same space in the different times

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郷愁を誘う中山道夕暮れの宿場町

幼少の一時期を内陸の町で過ごしたせいか、山里の景色に郷愁を覚えます。とりわけ秋の夕暮れ時など、薄墨色の風景の中にひとり佇むと、年甲斐もなく切ない気持ちになります。写真はあまりに有名な馬籠宿。数年前の年末、先のブログで紹介した三河地方に住む親友と車で出掛けた際、夕焼けに染まる家並みを収めたワンショットです。

 

現代は車や電車が発達しており、徒歩で長距離を旅する機会はほぼ無いと言ってもよいでしょう。登山等、一部の趣味による行動を除けば、一般的にはどんなに歩いても最長20km前後でしょうか。私的にはたまの休日、下町散策時など、気が付くと十数キロの道のりを知らずに歩いていることはありますが…(笑)。

 

そんな無茶なライフスタイルを長年続けてきたせいか、脚や膝を痛めることがしばしばあります。先日も階段を降りる際、目測を一段誤り、脚を延ばしたまま、勢い良く地面に着地してしまいました。そしてこの数か月、急な階段の昇り降り等、膝に負荷が掛かる度、痛みに顔をしかめる生活を続けてきました。

 

ぬるい風呂に長時間浸かってみたり、丁寧にマッサージしてみたりと、素人なりにいろいろな施術を試しては見たのですが、残念ながら改善の気配は全くない。先日痛みに耐え切れず、昔お世話になった整形外科医を訪問。短い診察とレントゲンによる診断の結果、患部の炎症を抑える飲み薬と抗炎症剤(湿布)を処方して頂きました。

 

数か月間治らなかった痛みです。正直、期待はしませんでした(先生、ゴメンなさい)。その夜、薬剤師の指示どおり薬を一錠服用、抗炎症剤を患部に貼り、静かに床につくことに。翌朝起きてみると…、何と痛みがほとんど引いているではありませんか!「夢でも見ているのかな」。そう思わずにいられないほどの快復ぶりでした。

 

さて時は元禄、所は中山道馬籠宿(元禄に深い意味はありません…笑)。古の人も痛みには嘸かし苦労されたことと思います。膝の痛みに堪え、街道を先へ先へと急いだ旅人も決して少なくはなかったでしょう。そんな時、この錠剤、湿布薬があったらきっとどんなに喜んだことか…。

 

生まれる時代によって得られる恩恵が違うことをしみじみと感じます。既に他界している祖父母も、もし今の時代に生きていればどうだったか。

 

僕たちは幸せな時の中に生きている。

 

今度また街道を歩こうか。遠い時代を生きた人々に思いを馳せながら、感謝の気持ちを忘れず一歩一歩、ゆっくりと…。