勝手時空雑記

思ふこと言はでぞただにやみぬべき われとひとしき人しなければ

Infinite human imagination praised by Lord

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フランス地方都市にある城の窓から眺めた風景

日本各地を旅する時、目的地として意識する場所のひとつに神社仏閣があります。特段信心深いわけでもないのですが、その周辺だけは昔から変わらない姿を残していることが多いから。とりわけ地方に行くと、古の姿を容易に想像出来る場所に巡り合うことが出来ます。交通の便にあまり恵まれず、人口密集度がそれほど高くない町や村ほど、その傾向は顕著になるような気がします。

 

この嗜好は海外を旅する時でも変わりません。欧州駐在の頃は、休みともなると車を駆り、フランスやベルギーの片田舎にある古城を訪ね歩いていました。その中には長い年月の中で人々から忘れ去られ、廃墟となりつつある建造物もありました。車のエンジンを切り、ひとりそんな場所に佇んでいると、訳もなく感傷的な気分になりますね。国は変われども栄枯盛衰は世の常、何人も抗うことは出来ないのでしょう。

 

最近では…、と言ってもこんなご時世、暫く異国を旅していませんので、郊外の旧跡にも足を向けられません。高速道路網が発達している欧州では、車は移動のための最高の手段となります。古くから馬車を移動手段としてきたお国柄です。平均巡航速度も高く、運転マナーも良好。実に快適に目的地から目的地へと移動出来ます。ただ、国によって高速道路料金の徴収方法が異なるため、国境を越える際には注意が必要です。

 

話がだいぶ逸れました…(笑)。さて、冒頭の写真。これは去年の春、フランス西部を旅した時、訪れた城の内部から望む、何気ない町の風景を切り取ったショットです。雲一つない青空、芽吹いたばかりの新緑、煉瓦煙突が立ち並ぶ家並み、そして何よりも写真にはっきりしたアクセントをつけているのは、ベンチに腰掛け、午後のおやつでも食しながら雑談するご婦人二人でしょう。

 

フランスに限らず欧州の多くの町では、外の風や光に当たりながら、お気に入りの仲間たちとゆったり気ままな時を過ごす人々が多いように感じます。このご婦人たちも、おそらく日頃生活の中で思うことや最近身の回りに起こった出来事などを話しているのでしょう。もしかしたら、若い頃に経験した恋愛話でもしているのかな。そして、そんな風景を、かつての城主だった公爵も、きっとこの窓から眺めていたに違いありません。

 

「四方を直線で切り取られた風景は一幅の絵画のようだ」と、昔誰かが言っていたか…。

 

決して自我嘉賞するわけではありませんが、こんな写真が撮れたとき、そしてそれを改めて眺める時、様々な思いや物語が頭の中を駆け巡ります。

 

旅を終えたのち、写真を見ながらまた旅をする。

 

「素晴らしきは神から授かりし人の想像力」と言ったら言い過ぎでしょうか。