勝手時空雑記

思ふこと言はでぞただにやみぬべき われとひとしき人しなければ

The same as yesterday's please!

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英国ホテルの標準的なブレックファスト

90年代後半から2000年代初頭、欧州にて自動車用電子機器のOEM向け製品開発を行っていた関係上、結構な頻度で英国に出張しました。英国と言ってもLondonのような大都市ではなく、郊外に広い敷地を持つ、地方都市近郊のR&D Centreがその目的地です。ドイツを拠点にBirminghamまで飛び、そこからレンタカーを借り移動。何泊かした後、週末金曜日の夜、家に帰る生活でした。

 

巷では「英国の食事はどうも…」という評判が支配的ですが、昔から何事も自分で確かめないと気が済まない性分です。訪れる度に地元のパブ、レストランを訪ね歩き、お勧めの料理に挑戦し続けてみました。が、結果は見事に「ゼロ勝ウン十敗」…(笑)。毎回「そんなことはない、きっとどこかに美味しい店はあるはずだ」と、気持ちも新たに次のパブのドアを叩き続けたことを、つい昨日のことのように思い出します。

 

でも、そんな英国にも美味しいものがふたつあります(私見です)。ひとつは「サンドウィッチ」、そしてもうひとつは「スコーン(Scone)」です。小麦粉や大麦粉にベーキングパウダーを加え、牛乳で練って作る、日本でもお馴染みの焼き菓子です。不思議とこれらふたつだけは、ほぼどこに行っても美味しい一品に出会えました。特に田舎町の牧場で口にするクロテッドクリーム(Clotted Cream)は絶品でした!

 

さて、私が仕事で頻繁に訪れた英国の街はCoventry、Swindon、Milton Keynes等。特にMilton Keynesは'The Roundabout City'と言ってよいほど環状交差点の多い町。大小取り交ぜ、おそらく町中に二三百はあったかもしれません。夕方仕事が終わると、そんなRoundaboutを走り抜けながら自然豊かな郊外のホテルを目指したものです。

 

そして翌朝、必ず頂くのが冒頭に載せた写真のようなブレックファスト。今では多くのホテルでセルフサービスとなっていますが、果たして小さな村の由緒あるホテルでは、品の良い女主人が丁寧に注文を取ってくれます。

 

「卵の料理法は?(いろいろ出来るぞ)」「ベーコンかソーセージか?」「ベイクドビーンズは要るか?」「マッシュルームや焼きトマトはどうだ?」「ハッシュドポテトは?」「ジュースはオレンジか、それともグレープフルーツか?」「コーヒーがいいか、それとも紅茶か?」「(紅茶を選ぶと)何か好みはあるか?」。そしてとどめは「トーストはホワイトかブラウンか?」という具合…。

 

まあ、注文を終えるまでに、ざっと数分はかかります(汗)。でも、その甲斐あって食事にありつけたときの感激も一入!(そんな大袈裟なものか!?)窓の外に広がる朝露に濡れた芝生を眺めながら優雅に朝食を頂いたことを、今でも時折思い出します。

 

さて陽はまた昇り、滞在二日目。毎日同じ苦労をしなければならないかって?

 

いえいえ、二日目からは実に簡単。小さな村のローカルホテルに東洋人はまだ珍しい時代です。顔を覚えてくれていますので、たった一言、

 

'The same as yesterday's (order) please!'でOKです!(笑)