勝手時空雑記

思ふこと言はでぞただにやみぬべき われとひとしき人しなければ

The turning points of my life appeared unexpectedly

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外見からは想像出来ない色の餡が…

私事で恐縮ですが、昨年の二月、転職をしました。実はそれまでにも二度、会社を変わっているのですが、今回のそれは全くの偶然。何の気なしに米国西海岸に本社を持つビジネス特化型SNSに登録したところ、幸運にもエージェントから声が掛かり、トントン拍子に事が進みました。「人間万事塞翁が馬」とはよく言ったものです。

 

職種は変わらなかったのですが、業種はソフトウェアからハードウェアに180度方向転換(笑)。それまではHDD上に身を潜める目に見えないディジタルデータと戦っていたのですが、今度は目に見える、というか、デザイン性やその表面仕上げに最大限気を使う自動車用内外装部品を設計・製造する会社にて、日々品質問題と格闘しています。

 

支社や工場も世界五極に点在。こんなご時世ですから海外出張は当分お預けですが、国内の拠点には時折顔を出します。写真の和菓子は、そんなとある国内工場に出向いた際、帰りの電車を待つ駅の売店で偶然に見つけたもの。黒地のパッケージに赤い文字。小ぶりの箱ですが、それなりの値札が付いていました。

 

ここは地方のローカル線、小さな町の終着駅です。都会のど真ん中ならばいざ知らず、この値段で果たして売れるのだろうか…。余計なお世話ながら、商品を見たときの率直な第一印象です。でも、きっとこれも何かのご縁。どんな和菓子なのかも分からないまま手に取り、レジへ直行。発車のメロディが流れる中、電車に飛び乗りました。

 

さて帰京後、開封。箱の中には黒い玉が四つ。脱酵素剤を座布団代わりに、ひとつひとつ丁寧に包装されています。デザート用フォークで割ってみると、中には目にも鮮やかな鶯色の餡が。口に含み、舌で優しく潰してみると、上質、かつ芳醇な味わいです。「ああ、えんどう豆だ…」。周りを包む黒糖の風味も相まって、豊かな香りが鼻腔の奥にまで届きます。以降、訪問の際には必ず購入する、出張土産の定番となりました。

 

それにしても縁って不思議です。SNSへの登録、エージェントからのインビテーション、そして転職の決意、どれひとつ欠けても、この和菓子には出会っていません。

 

人生ってまるで、次から次へと現れる追分を延々と選び続ける旅のようです。時に「あのとき別の道を選んでいたら…」という思いを背中に残しながら…。

 

でも、きっと「今が一番幸せ」。これが僕の座右の銘

 

陰に日向に僕を助けてくれる、周りの全ての人や運に感謝しながら、そんな道をこれからも歩んでゆきたいと思います。