勝手時空雑記

思ふこと言はでぞただにやみぬべき われとひとしき人しなければ

My favourite snack after played baseball

画面左、ソースを纏う今回の陰の主役「ハムカツ」

先日、夕食にハムカツを頂きました。サクッとした歯触りの昔ながらのハムカツでした。今回はソースで頂きましたが、何もかけずに食べるのも好きです。たまの休み、電車に揺られ、とある山あいの町を訪れますが、その一角に地元に根付いた肉屋があります。店先で揚げてくれる揚げ物を食べながら、当てもなく町を散策する楽しさ。ああ、思い出したらまた食べたくなってきた…涎。

 

小学生高学年の頃、草野球で夢中になった広場の近くに肉屋がありました。店の名前は忘れましたが、毎月のお小遣いで買って食べた揚げ物だけははっきり覚えています。ポテト、手羽先、コロッケ、そしてハムカツ。手羽先の値段が最も高く、ひとつ15円だったと記憶しています。子供なりに真剣にプレイした後のおやつは美味しく、一日当たりのお小遣い30円で何を買って食べるか、小さな頭を悩ませたものです。

 

巷の専門書や新聞記事によれば「匂い」や「味」は長期記憶として人の心に残り、将来似たような状況に遭遇した際、一瞬にして過去の風景や出来事を思い出すきっかけになると言います。私の場合、このハムカツが正にそれ。今回夕餉の食卓にて久々にお目にかかり、一口頬張った瞬間、ヒットを打った時の高揚感が少しだけ蘇った次第です。

 

ところで、このハムカツ。揚げ物の中で唯一と言ってよいほど、家庭で作る機会が極端に少ない料理だと思いませんか?子供の頃、母や祖母が用意してくれた晩ご飯に登場するハムカツも、ほぼ間違いなく肉屋で購入したものでした。コロッケや唐揚げは家で丁寧に作ってもらえるのに、何故かハムカツだけはその機会に恵まれない。不遇な揚げ物の代表的存在と言っていいかもしれません…笑。

 

話を元に戻しますが、皆さんはハムカツを口にした時、頭に思い浮かぶ懐かしい風景ってあるでしょうか?私同様、街角の肉屋?駅前の簡易食堂かな?ある程度大きくなってからの記憶であれば、路地裏の一杯飲み屋かもしれません。いつの頃、どのくらい食べたのか…。その年齢や場所により、心象風景も大きく変わることでしょう。

 

さて、ここまで長々と力の入った文章を綴りながら恐縮ですが、実は今回登場した肉屋に特段の思い入れがあるわけではありません。更に言えば、その町ももう長い間訪れていません。どちらかと言えば簡単に忘れ去ってしまうような、単なる少年期のひとコマです。

 

にも拘らず、たった一口ハムカツを頬張っただけで、その景色が心の中の映像となって鮮やかに蘇ってくる。人の記憶のメカニズムって本当に不思議です。

 

今回は(も)何だかまとまりのない文章になってしまいましたが、まあそこは「勝手時空雑記」と言うことで…。