勝手時空雑記

思ふこと言はでぞただにやみぬべき われとひとしき人しなければ

A beautiful moment in an aimless journey

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とあるフランスの街角で出会った風景

旅をしていると、おそらく二度とはお目に掛れない風景に出会う瞬間があります。そんな時、その一瞬を長く記憶に留めたいと思いシャッターを切るのですが、なかなか気に入った構図を残すことが出来ません。

 

この写真は、とあるフランスの地方都市で偶然に出会った教会を写したものです。時刻の関係で逆光となったことが幸いし、印象深い画となりました。天空をゆく双発の旅客機、どこへ向かっているのかな。光煌めく地中海のリゾートか、それとも大都会パリでしょうか。

 

欧州の暮らしに造詣が深い方はよくご存じのことと思いますが、多くの店は午後6時前後をもって、その日の営業活動を終了します。高緯度に位置する地理的条件から、初春から晩夏にかけては長い一日が続き、まだ明るい街の中心部に全く人の姿が見られないという、一種異様な体験をすることが出来ます(最近に限れば、日本の街角でも可能かも…)。

 

この時間・空間がとても好きです。そして、この指向は日本国内を旅する時にも全く変わりません。人は好きなのですが、人混みはちょっと苦手(笑)。ですから訪れる先も、自ずと有名観光地からは足が遠のいてしまいます。

 

でもそのお陰で、一般的な旅では叶わないであろう出会いを多く経験してきました。多くの旅人は気にも留めない無名の地方都市での人とのふれあい。地元にまつわる風土・風習、隠れた銘菓、忘れられかけている歴史等、様々な記憶が蘇ります。

 

若い頃は写真嫌いだったのですが、歳を取るに連れ、記憶の引き出しを開けるための貴重な鍵となる映像の力に感心することしきり。

 

でも本当は奇麗な絵画で記憶を残せたらなあ…(当方、絵の心得は皆無)。

 

旅先で写真を撮る度、筆の才能を有する諸兄を、心の底から羨ましく思う次第。