勝手時空雑記

思ふこと言はでぞただにやみぬべき われとひとしき人しなければ

Les bonbons japonais, 'Gelée de Misuzu'

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「飴」と名の付いた、果実だけで作られた信州銘菓

初めて食べたのがいつだったのか、全く覚えがないロングセラー食品ってありませんか。写真の「みすゞ飴」などは、僕にとって正にその代表作。飴と言っても実際はゼリーのお菓子。信じられないことに材料は果実、砂糖類と寒天のみ。科学的に合成された材料を一切使用しない、正に自然の味と呼ぶに相応しいお菓子です(ステマではありません)。

 

このお菓子を初めて僕にくれた人は「母」。以前ブログに書きましたが、善光寺が大好きだった母はお参りの帰り、このお菓子をよくお土産として買ってきてくれました。商品流通網が今ほど発達していなかったその昔、地方のお菓子が手に入る機会は少なく、鮮やかな暖色系のパッケージも相まって、手に取った時の喜びには格別のものがありました。

 

当時「食品安全基本法」や「食品衛生法」のようなしっかりした法律は整備されていなかったのでしょう。町の駄菓子屋で買うおやつなどを食べたり飲んだりした後は、舌などがそれは見事に赤や黄色に染まったものです(笑)。そんな中、時折食べるみすゞ飴は、子供心にも新鮮でした。ほんのりとした甘み…。何故か心に残る味でした。

 

さて、話はガラッと変わりますが、当時生まれた対極の食品と言えば「カップヌードル(ラーメン)」ではないでしょうか。そしてこの商品、初めて手にしたときのことを、実にリアルに記憶しています。

 

それは僕がまだ小学生だった頃の秋。時期としては少し早い炬燵の上で、初めて食べるインスタント食品に胸をワクワクさせていました(ちょっと大袈裟)。が、三分を数え終わる前、何かのきっかけでカップが転倒!(涙)人生初のトライアルは見事失敗に終わり、子供心にかなりへこんだことを懐かしく思い出します。

 

それまでにもお湯を注ぐだけで出来る即席麺はありました。そう、皆さんご存じの「チキンラーメン」です。が、これを作るには丼が必要。更には、麺を丼にセットしなければならない。カップヌードル同様、三分ほど待てば完成なのですが、麺は固くスープもちょっとぬるい。正直、子供の僕にとって、興味をそそられる食品ではありませんでした。

 

話は戻り、冒頭の「みすゞ飴」。このお菓子、どうして「飴」って名前が付いているんだろう。Wikipediaによれば、固いものを「固飴」、柔らかいものを「水飴」というらしい。

 

現代ではこの手のお菓子は「ゼリー」と呼ばれているが、もしかしたらその言い方も少し古いのかもしれない。何故なら、最近「ジュレ」というフランス語をよく聞くようになったから。「ジュレ・ドゥ・ミスズ(Gelée de Misuzu)」…、何だかしっくりこない。

 

時代は変わろうとも、このお菓子だけは、いつまでも「飴」と呼ばれていてほしいな。